2023/11/01今週の一言

 今回はエジプト由来の名前を持つモーセ。旧約聖書の中心人物です。というのも「正典の中の正典」とされる「トーラー(創・出・レビ・民・申)」の主人公だからです。トーラーは「(モーセ)五書」ないしは「律法」とも呼ばれます。

モーセは母ヨケベド・父アムラムの間に生まれました。姉ミリアムと兄アロンの三人兄弟の末っ子です。モーセは姉の機転によって出生時の危機をくぐりぬけエジプト王家の者として育てられます。40歳の時に人を殺したため王宮を追われミディアンに亡命します。そこでミディアン人ツィポラと結婚し、80歳まで羊飼いとして生活をします。二人の間に息子が二人与えられています(出2章)。

80歳の時に神からの召しを受けてモーセは、奴隷の民イスラエルを自由にする「脱出の旅の指導者」となります。召命記事に彼の生涯の問いが詰まっています。「私は誰か」。エジプト人/ミディアン人/ヘブライ人を行き来する彼ならではの問いです。神の答えは「私は成りたい者に成る」です(出3章)。モーセはファラオと交渉し、葦の海を分け、天からパンを降らせて民を救います(出5-16章)。

神はモーセに狭い意味の「律法」を授けます。トーラー中の長大な法律部分です(出20章-レビ26章、申5-26章他)。モーセとアロンと長老は民を代表し、神の前で食事をし、神と民の契約が締結されます(出24章)。

三頭政治を導くモーセ・アロン・ミリアムとの間には緊張と葛藤がありました(出32章、民12章)。常に神はモーセの側に立ちます。その他の反逆者たちを神は粛清します(レビ10章、民16章)。偏愛の神が、モーセを明確に裁いたのは一回だけです。ミリアムの死後、彼とアロンが自分たちの権威を振りかざした時、神は兄弟をカナンの地に入れないことを決めました(民20章)。神は自由です。

死を前に120歳のモーセはカナンの地を眺望しネボ山で息を引き取ります。彼は比類なき預言者でした(申34章)。成りたい者に成れた、かも。JK