2024/01/24今週の一言

 今回はミカル、サウルの娘であり、ダビデの妻となった女性です。ベニヤミン部族のサウルとアヒノアム夫妻には5人の子どもがいました。息子たちはヨナタン、イシュビ/イシュ・ボシェト、マルキ・シュア、娘たちはメラブ、そしてミカルです(サム上14:49)。

 ミカルは父サウル王の家臣である将軍ダビデを愛していました。サウルは娘の愛情につけこみ、ダビデを殺す意図をもって娘と結婚させます(同18:17-30)。

 ミカルは兄弟のヨナタンとも協力して、父のダビデに対する暗殺計画を失敗させ、ダビデを逃します(同19-20章)。ミカルはダビデの命の恩人です。ところがダビデは亡命先で、別の二人の女性を次々に妻とします。この情報を得たサウル王はミカルをパルティ/パルティエルという男性と結婚させます(同25章43-44節)。パルティエルはとても良い人で、ミカルも幸せな結婚生活を過ごします。

 サウルの死後、サウル王朝とダビデ王朝の内戦のさなか、ミカルとパルティエルの結婚は強制的に終了させられ、ミカルは再びダビデの妻とさせられます。この「復縁」も男性権力者たちの都合によるものでした(サム下3章14-16節)。

 ダビデはサウル王朝を倒し統一王国をエルサレムで樹立し、さらに多くの女性たちを「側女」としました(同5章13節)。権力の絶頂に上り詰めたダビデ王は、自らが祭司役となりヤハウェの箱を運び入れるという「国家儀礼」を取り仕切ります。この「裸の王様」を、ミカルは正当にも痛烈に批判します(同6章)。

冷酷な政略家ダビデは、ミカルの「王への不敬」「国策批判」を口実に、サウル王家の血統を根絶やしにすることとします。彼はミカルを遠ざけ、さらに親友ヨナタンの遺児すらも敵に引き渡して殺すのです(同21章)。なお21章8節の「ミカル」は、彼女の姉「メラブ」の書き間違えでしょう(サム上18章19節参照)。

ミカルを記念しつつダビデ王を評価していく信仰的視点が必要です。JK